長野県   堀田 幸雄

 
 
 絵を描くときに、筆が一番大事。
 子どもたちの絵の具道具を調べるときなにが一番重要視して、調べるか。
 筆です。筆なんです。
 心が一番伝わる所が筆なんです。  
 心が一番伝わる筆が、ぼろぼろになっていたり、曲がっていたり、そういう適さない筆は、だめなんです。
 私も学生の絵の具道具を調べるときに、筆がだめだと、「もう、あなたは授業を受ける資格がない。」と言うくらい、それくらい厳しい。
 自分の心が一番乗り移るのが、筆だからです。
 
 
筆のしまいかた
 
 筆は常に、曲がらないようにしまうことを教えてください。
 曲がったまんまで絵の具箱にしまうと、曲がったまんまに絵の具箱から出てくる。
 曲がったまんまの筆で描いてみてください。
 もう悲惨なものです。
 どうにもならない。
 ぼろぼろになった筆は、色が大変汚くなる。心が絵に乗り移らない。
 
 
 
 
普通の筆
 
 普通の絵を描くときは、普通の筆にしてください。
 普通の筆とは、茶色の動物の毛です。
 いま、ずいぶんナイロンの毛がはやってきています。
 ナイロンの毛は、動物の毛をまねしたもの。
 どちらかというと、不透明の絵の具に似合います。ポスターを描くときにはいいです。 白い毛の筆は、豚の毛です。どちらかというと、ポスターの絵の具に似合う。
 白い毛は、触ると相当固い。ピンピンとする。歯ブラシほどではないですが、相当固いです。
  筆は非常に大事です。
 普通の絵を描くときには、普通の動物の毛の筆を子どもたちに持たせてください。
 
 
筆の太さ
 
 筆は常に大・中・小の三種類の筆を子どもたちに持たせてください。
 小は、0号から3号まで
 中は、6号前後
 大は、10号から12号
 3本用意する
 常に 清潔にする。そしてきれいに洗ってあって、まっすぐにしまう。
 曲がらないようにしまう。
 曲がったまましまっておくと、だしたとき、曲がったままでてきます。
 曲がったままの筆に描くことは、至難の技です。
 1回やってみるとはっきり分かります。
 そういう筆でやっている子がけっこういます。
 「先生しくじった。しくじった。」と言うのですが、どうしくじったのだろうと思って、見ると筆が曲がっているのです。
 案外土台のところがだめなので、注意してください。
 
  1998年度国語・図画工作合宿イン長野での酒井臣吾先生の言葉